2013年01月26日(土)

2013-01-26 10:55
434 医者とある男[]




「今日はどうしました?」
「いやね、昨日熱が38度あったんですよ。と言っても夕方の話であって、その後すぐに37に下がりました。今朝だって37だ。別段喉が痛いわけでなければ腹だって痛くない。寒気すらないんすよ。咳だってたまにだ。こんなに余裕があるのにインフルなわけがない。なのに家の者が病院に行けとうるさくてかなわない。どうせ風邪でしょう。風邪なんて気合で治せばいいんですよ」
「素人判断をされても困りますよ。さ、口開けて」
「んあっ」
「ふむふむ」
「インフルエンザなんて軟弱者のかかる病気ですよ。最近の日本人は精神の鍛錬がなってないからいけない。病は気からなんて言うでしょう。全ては気合いですよ気合い」
「その理論でいうなら風邪の方が軟弱者の証なのでは?」
「はっは、言い得て妙だ。なるほどなるほど。確かに私も最近はマイナス思考が根付いて困る。それとも心配性と言うべきか、出かける際には何回もドアノブを捻って鍵をかけたか確認するんですよ。私の精神も弱ったものだ。するってぇとこれは精神の病かもしれぬ。ならばこんなところより精神科に行くべきだったかしらん。というのも、近頃寺にでも篭ろうかと思ってましてね」
「とかなんとか言いますが、どうやらインフルエンザみたいですよ」
「おやおや。やはり精神が弱っていたらしい。これは滝でも浴びなければなりませんな」
「薬のんで安静にしててください」
「何言ってんですか。それこそ身体がなまっていけない。病に屈しろとおろろろろろろろ」
「吐きましたね。重症じゃないですか」
「えっと、薬飲んで寝てればいいんすかね」
「病は気からだね」
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